COLUMNETEC(組み込み技術者試験制度)とは?資格の評価・難易度・勉強方法

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ETEC(組み込み技術者試験制度)とは?資格の評価・難易度・勉強方法

ETEC
  • 「ETECの資格を取得するメリットはある?」
  • 「ETECの効果的な勉強法は?」
という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問点に役立つ内容を
・ETECの資格概要
・ETECの資格を取得するメリット・デメリット
・ETECの勉強法
の順番に解説していきます。
ETECの資格に興味がある人やソフトウェアの資格を取得したい人に役立つ記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

ETEC(組み込み技術者試験制度)とは?

ETECは組み込みシステム技術者の能力を評価するための試験制度です。
まずはETECの概要や活かせる仕事についてみていきましょう。

ETECの資格概要

ETECは一般社団法人組み込みシステム技術協会(JASA)が開発・運営している試験制度です。
組み込みシステム分野での専門知識やスキルを持つ技術者の育成や認定を目的とした、組み込みエンジニア向けの試験です。
組み込みエンジニアとは、コンピューターや電子機器の内部に組み込まれているソフトウェアを開発するエンジニアのことです。
試験では、主に組み込みソフトウェアの開発技術者として必要な知識が問われます。

ETECの資格を活かせる仕事

ETECの資格を取得することで、スマートフォン、自動車、家電製品、医療機器、などの組み込みシステムに関する分野で活躍できます。
組み込みシステムはさまざまな産業で開発が進んでおり、広範囲な分野で需要が高まっています。
ETECの資格を取得することで、組み込みエンジニアとしてのスキルアップに役立つといえるでしょう。

ETECの資格を取得するメリット・デメリット

ETECの資格取得は組み込みエンジニアに必要な知識が身につく、IT関係の仕事の幅が広がり昇給や転職に活かせるなどのメリットがあります。
ただし、資格を取得する前にデメリットを把握しておくことも重要です。
本項ではETECの資格を取得するメリット・デメリットについて紹介します。

ETECの資格を取得する4つのメリット

まずはETECの資格を取得するメリットは以下の4つが挙げられます。
  • 組み込み系ソフトウェアの知識が身につく
  • IT関係の仕事に活かせる
  • 年収アップにつながる
  • 就職・転職が有利になる
ETECの資格を取得するメリットについて詳しくみていきましょう。

組み込み系ソフトウェアの知識が身につく

ETECの資格を取得することで組み込み系ソフトウェアの知識を身につけられるメリットがあります。
ETECを受験するには組み込みシステムの基礎から応用までの知識を習得する必要があります。
ETECの勉強を通して組み込みシステムのプラットフォーム、ソフトウェア開発、管理・マネジメント、通信分野など幅広い知識を身につけられるでしょう。

IT関係の仕事に活かせる

ETECの資格を取得すればIT業界での業務に広く活かせるメリットもあります。
ETECは組み込みシステム分野に特化した資格であり、組み込みシステムに関する専門的な知識を習得できます。
IT関係の仕事の幅を広げたい人にもおすすめできる資格といえるでしょう。

年収アップにつながる

ETECの資格取得により組み込みシステムエンジニアとしてのスキルの証明になり、年収アップを目指せるのもメリットです。
IoTを導入する企業は年々増加しており、組み込みエンジニアの需要が高まっています。
組み込みエンジニアとしてのスキルを有していることをアピールできれば、給与面での優遇を受けられる可能性もあるでしょう。

就職・転職が有利になる

ETECの資格は組み込みシステムに強いエンジニアであることを証明できるため、就職や転職に有利となります。
スマートフォンや家電、自動車などあらゆる電子機器にはソフトウェアが組み込まれており、これらの設計や管理には専門的な知識が必要です。
ETECの資格を取得することで組み込みソフトウェアに関する知識を企業側に示し、組み込みエンジニアとして経験を積むことでキャリアアップにつなげることができるでしょう。

ETECの資格を取得するデメリット

受験費用や勉強時間が必要になる

ETECで高得点を取得するためにはまとまった勉強時間が必要です。
勉強時間を確保するには、就業後や休日のすきま時間を活用することが大切です。
ETECは組み込みエンジニアとしての知識レベルをアピールできる資格ですが、仕事をしながら取得するには勉強時間を作る工夫が必要になるでしょう。
また、受験料も最低15,000円(税別)が必要となるため、試験を申し込む前に、合格できるだけの勉強時間が取れるのかなどを確認しておきましょう。

ETECの試験について

ここからはETECの試験概要について紹介します。
試験日程や出題内容、試験時間などを詳しく解説するので、これからETECを受験する人はチェックしておきましょう。

ETECの試験概要

ETECの試験概要は以下の通りです。
試験名 ETEC(組み込み技術者試験制度)
試験の特徴 合否判定なし
800点満点のスコアにてグレード評価
分野ごとの正答率評価
試験日程 CBT方式にて随時受験可能
試験会場 全国のPearson VUE試験会場
出題数 組み込みソフトウェア技術者試験クラス2:120問
組み込みソフトウェア技術者試験クラス1:90問
試験時間 組み込みソフトウェア技術者試験クラス2:90分
組み込みソフトウェア技術者試験クラス1:120分
受験料 組み込みソフトウェア技術者試験クラス2:15,000円(税別)
組み込みソフトウェア技術者試験クラス1:20,000円(税別)

ETECの試験の種類・難易度

込みソフトウェア技術者試験クラス2(エントリレベル)」と「組み込みソフトウェア技術者試験クラス1(ミドルレベル)」の2つのレベルがあります。
ETECには一般的な試験と異なり合否判定はなく、理解度や活用運用能力について分野別に800点満点で評価します。
それぞれのレベルの概要についてみていきましょう。

組み込みソフトウェア技術者試験クラス2(エントリレベル)

一般社団法人組み込みシステム技術協会によれば、組み込みソフトウェア技術者試験クラス2の目的は以下のようになっています。
  • 組み込みソフトウェア開発に関するある一定以上の知識があることを判定します。
  • 上級者の指導のもとにプログラミング作業を行える技術者に必要とされる知識を問います。
また組み込みソフトウェア技術者試験クラス2の出題範囲は以下の通りです。
【技術要素】
階層 階層2 スキル項目
プラットフォーム プロセッサ MPU、バス、レジスタセット、RISC、CISC、DSP、GPU、MNU、省電力制御、パイプライン、スーパスカラ、割り込み、タイマ/カウンタ、DMA、WDT、キャッシュ 等
基本ソフトウェア ROM、RAM、Flashメモリ、メモリインタリーブ、デュアルレポートメモリ、ROM化、ブートローディング、スタートアップルーチン 等
支援機能 共有ルーチン、システムコールサービス、同期、排他制御、デッドロック、ICE、JTAG、ソフトデバッガ、オシロスコープ、ロジアナ、ログ収集/解析 等
【開発技術】
階層 スキル項目
ソフトウェア詳細設計 分割、モジュール化、フローチャート、タイミングチャート、UML、状態遷移図、設計ツール、QoS、誤り検出 等
ソフトウェアコード作成とテスト レビュー手法、C言語に関すること、コーディング規約、MISRA-C、プログラミング技術、チューニング技術、オブジェクトモジュール、静的解析ツール、カバレッジ、同値分割、ホワイトボックステスト、ドライバ、スタブ、自動化テスト、テストツール 等
ソフトウェア結合 テスト環境設計/構築、テストツールの選定、直交表、カバレッジ、自動化テスト 等
クロス開発技術 オブジェクトファイルフォーマット、PIC、リロケータブルファイル、コードチューニング 等
【管理技術】
階層 スキル項目
品質マネジメント 品質特性、ソフトウェアメトリクス 等
構成管理・変更管理 構成管理の目的 等
【通信】
階層 スキル項目
有線通信 CAN、TCP/IP、USB、IEEE1394、IEEE488、VXI、RS-232C、RS485 等
無線通信 Bluetooth、IrDA、RFID、IEEE802、CDMA 等
これらの分野ごとの正答率によって、「グレードA」「グレードB」「グレードC」の3段階で評価します。

組み込みソフトウェア技術者試験クラス1(ミドルレベル)

組み込みソフトウェア技術者試験クラス1では以下の能力について評価を行います。
  • 要求、設計工程、それに対応するテスト工程における知識から分析能力までの総合力
  • 現場リーダとして不可欠な、実装、QCD等の知識・能力
  • 実装の実務能力
「組み込みソフトウェア技術者試験クラス1」を受験するためには、ETEC組み込みソフトウェア技術者試験クラス2で500点以上を取得する必要があります。
組み込みソフトウェア技術者試験クラス1の出題範囲は以下の通りです。
カテゴリー プロパティ 概要
分析力 仕様・設計の分析に関する問題 – 要求定義 与えられた仕様に対して必要な機能、非機能、制約条件をリストアップする問題
– 構造設計 与えられた仕様から機能・非機能を実現するためのシステム構造を考える問題
– 制約・非機能要件設計 与えられた仕様から関連する技術要素を見抜く問題
– システム検証 与えられた仕様からシステム検証条件をリストアップする問題
理解・表現 仕様・設計並びに管理の表現、理解に関する問題 – 要求定義 与えられた仕様、設計の意図を理解する問題
– システム方式設計・与えられた仕様、設計の誤りを指摘する問題・与えられた情報から仕様・設計情報を完成させる問題・与えられた設計・実装の実行時の危険性、誤りを指摘する問題
– 設計検証 与えられた情報から検証情報を完成する問題
– プロジェクトマネジメント 開発計画の立案および妥当性を確認する問題
知識 上記の知識を問う問題 – システム要求分析 要求の獲得と調整、システム分析と要求定義、システム分析と要求定義のビュー、管理(横断技術)
– システム方式設計 ハードウェアとソフトウェア間の機能および性能分担の決定、実現可能性の検証とデザインレビュー
– ソフトウェア要求分析 ソフトウェア要求事項の定義、ソフトウェア要求事項の評価・レビュー
– ソフトウェア方式設計 ソフトウェア構造の決定、ソフトウェア構造のデザインレビュー
– システム結合 テスト項目抽出とテスト手順の決定およびレビュー、システム結合テストの実施
– システム適格性確認テスト システム適格性確認テストの準備とレビュー、システム適格性確認テストの実施
– プロジェクトマネジメント 品質マネジメント(Q)、コストマネジメント(C)、タイムマネジメント(D)、リスクマネジメント
– ビジネススキル 知財、標準化、製品戦略、マーケティング基礎
ETEC組み込みソフトウェア技術者試験クラス2と同じく合否判定は行いません。
カテゴリーごとの正答率をもとに「グレードA」「グレードB」「グレードC」で評価します。

独学でできる?ETECの勉強について

ETECの資格の取得を検討している人は、ETECで高得点をとるための勉強法について気になっているのではないでしょうか。
勉強は独学で進めることも可能です。
ここからはETECにおける独学での勉強法について紹介します。

ETECの勉強の進め方

ETECの勉強は、主に問題集や過去問、動画教材を使って進めることをおすすめします。
このような教材を利用することで、仕事の合間でのすきま時間でも効率良く勉強を進められるのがメリットです。
ETECや組み込みシステムに関する問題集を購入したり講座を受講したりすることで、実際の試験でも高得点を狙えるようになるでしょう。

ETECの勉強時間

ETECの平均勉強時間は個人差はあるものの、一般的に50~100時間といわれています。
組み込みエンジニアとしての実務経験の有無や期間によっても必要な勉強時間は変わります。
実務経験の短い人が受験する場合は、ある程度の勉強時間を確保する必要があるでしょう。

ETECの学習教材

以下ではおすすめの参考書や問題集を紹介するので参考にしてください。

おすすめの参考書・過去問

・「よくわかる組み込みシステム開発入門 要素技術から開発プロセスまで」
ETECや組み込みシステム開発に関する必要な知識を習得するための入門書です。
実際に手を動かしてプログラミングを体験し、組み込みシステム開発に必要な技術を学べる書籍になっています。
・「すぐわかる!組み込み技術教科書」
組み込みエンジニア初心者向けの書籍です。
ETEC組み込みソフトウェア技術者試験クラス2の対策も可能なので、試験前に使う参考書としておすすめです。
演習問題付きで実践的に組み込みシステムに関する知識を学べます。

ETECの資格を活かした就職先

ETECの資格を取得することで、自動車業界や家電業界のハードウェア系、電子システム系の企業への就職が有利になります。
また、組み込みエンジニアとしてのキャリアを活かして、ソフトウェアエンジニアやIoTエンジニア、AIエンジニアになることも可能です。

まとめ

本記事ではETECの資格を取得するメリット・デメリットやETECの試験概要、勉強法などを紹介しました。
ETECの資格取得を通して組み込み系ソフトウェアの知識が身につき、IT企業への就職や転職に有利になるメリットがあります。
ETECでハイスコアを獲得するためには、勤続年数やスキルに応じて50〜100時間ほどの勉強時間が必要です。
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