シスコ技術者認定試験（CCNA）とは？難易度やメリットを解説

現在、日本において多くの企業でネットワークの設計や構築、運用にシスコシステムズ社の製品が使用されています。

「ネットワークに関わる業務は未経験だけどシスコ技術者認定試験に興味がある」
「ネットワークエンジニアとしてシスコ技術者認定試験を取得しキャリアアップしたい」

上記のように、シスコシステムズ社が主催するシスコ技術者認定試験について気になる方も多いのではないでしょうか。
今回はシスコ技術者認定試験の中でもとりわけ知名度が高く人気とされている「CCNA」を中心に

・シスコ技術者認定試験やCCNAとは
・シスコ技術者認定試験の資格全体像
・CCNAを取得するメリット
・CCNAの試験概要
・CCNAの学習方法

の順番にご紹介していきます。
シスコ技術者認定試験に興味がある方には必ず役立つ記事となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

シスコ技術者認定試験の１つであるCCNAとは？

シスコ技術者認定試験とは？

シスコ技術者認定試験とは、シスコシステムズ社が実施するネットワーク機器に関する認定試験っです。シスコシステムズ社では様々なネットワーク機器を取り扱っており、2021年には国内シェア率が48.1％に上りました。
シェア率が高いことから、取得することで多くの企業にネットワーク機器に関する知識やスキルを証明することできます。

2021年の国内ネットワーク機器市場シェア、1位はシスコで48.1％、2位はNEC、3位はアライドテレシス─IDC

CCNAとは？

CCNAとはシスコ技術者認定試験の一つで、ネットワークやセキュリティに関する基礎的な知識や、ネットワークやIPの接続方法など幅広い範囲から知識が問われます。
以前は8つの分野に分かれていましたが、現在ではCCNAに一本化され出題範囲が広くなっています。
対象とする職種は、ネットワークエンジニア初学者やヘルプデスク技術者などが挙げられ、シスコ製品を取り扱った経験が1年以上であることを想定し、試験が設計されています。
また、資格取得後の有効期間は3年間とされており、資格維持のためには期間終了後に再度認定試験を受ける必要があります。

CCNAを持っているエンジニアは需要が高く、就職に役立つ

CCNAを取得することで就職・転職活動を有利に進めることができます。
ネットワークエンジニアに関する求人情報を見てみると、多くの求人で歓迎条件にCCNAの所有の有無が記載されています。
このようにCCNAは多くの企業で信頼できる資格として認められており、CCNAを取得することは「ネットワーク機器に関する知識」を有していることの証明となります。

【難易度や勉強時間の目安】シスコ技術者認定試験の資格一覧

シスコ技術者認定試験は、2022年現在主に4つのレベルに区分されています。
過去には5つのレベルに区分されていましたが、2021年3月1日に「アーキテクト」が廃止されました。ここからは、それぞれのレベルについて詳しく解説します。

難易度は大きく分けて3つに区分される

エントリーレベル

エントリーレベルに分類される資格は下記の3種類です。

資格名	内容
CCT Collaboration	シスコ製品を利用者が操作する機器に接続したり、運用するために現場でサポートしたり、メンテナンスを行ったりするために必要な知識が問われます。
CCT Data Center	シスコのシステムやサーバーの運用を現場でサポートしたり、メンテナンスをしたりするために必要な知識が問われます。
CCT Routing and Switching	シスコのルーター、スイッチ、および運用環境を現場でサポートしたり、メンテナンスをしたりするために必要な知識が問われます。

CCTは、シスコ技術者認定試験の初学者向けとして、未経験の方でも受けることができるものです。
ネットワークの専門家としてのキャリアに関心がある人、CCNAを受ける前に基礎的な知識を習得しておきたい人は、この資格から始めると良いでしょう。

Cisco Certified Technician (CCT)

アソシエイトレベル

アソシエイトレベルに分類される資格は下記の3種類です。

資格名	内容
CCNA	ネットワークを最適化・管理するために、ネットワークに関する基礎、IP サービス、セキュリティの基礎、自動化およびプログラマビリティに関する知識が問われます。
DevNet Associate	外部からの攻撃などセキュリティ面での脅威に対して対抗するために、セキュリティの概念、セキュリティの監視、ホストベースの分析、ネットワーク侵入分析、セキュリティポリシーと手順に関連する知識が問われます。
CyberOps Associate	シスコのプラットフォームを活用し、アプリケーションの開発・運用を行うためにソフトウェア開発やデザインに関する知識が問われます。

アソシエイトレベルでは、ネットワークに関する専門家として基礎的な知識を習得します。
現在エンジニアとして数年勤務しており、よりステップアップしたい人におすすめです。

Cisco　アソシエイト認定

プロフェッショナルレベル

プロフェッショナルレベルに分類される資格は下記の7種類です。

資格名	内容
CCNP Collaboration	ツールの連携により社内の業務効率化やコミュニケーション活性化を図るために必要な知識が問われます。
CyberOps Professional	サイバー攻撃などセキュリティに関する脅威に対して、対抗するためにサイバーセキュリティに関する基礎知識やサイバー攻撃を見つけ出し排除する方法などについて問われます。
CCNP Data Center	サーバーなどを設置し、データ通信などを運用することに特化した建物である「データセンター」を構築するために必要な知識が問われます。
DevNet Professional	シスコのプラットフォームを活用し、ソフトウェアやアプリを開発するために必要なAPIの活用やセキュリティの自動化など高度な知識が問われます。
CCNP Enterprise	ネットワークからセキュリティまで1つの敷地や建物でネットワークを構築するために必要な知識が問われます。
CCNP Security	最新のテーマから出題されるなど高度なセキュリティ技術に関する知識が問われます。
CCNP Service Provider	VPN サービスのような最新のテーマや回線とインターネットをつなげ、構築するために必要な知識が問われます。

プロフェッショナルレベルでは、ネットワークエンジニアとしてさらに専門性を高めていくために必要な試験です。自分の専門性に合わせて資格を取得しましょう。
このレベルでは知識の幅だけでなく、知識の深さも要求されます。

Cisco プロフェッショナル認定

エキスパートレベル

エキスパートレベルに分類される資格は下記の8種類です。

資格名	内容
CCIE Collaboration	ツールの複雑な連携に必要な知識が問われます。設計、導入、運用、最適化と全体を設計するために必要な高度な知識が問われます。
CCIE Data Center	テクニカルリーダーとして「データセンター」のネットワークの設計、導入、運用、最適化といった一連の全体設計を行うために必要な高度な知識が問われます。
DevNet Expert	自動化ツールを活用しネットワークの自動化を行うなどの高度な専門知識が問われます。
CCDE	ネットワークの設計・構築における専門家として、拡張性や管理性に優れたネットワークを設計・構築するために必要な高度な知識が問われます。
CCIE Enteprise Infrastructure	ネットワークからセキュリティまで1つの敷地や建物でネットワークを構築するために、設計、導入、運用、最適化といった全体設計に必要な高度な知識が問われます。
CCIE Enterprise Wireless	ネットワーク機器同士が繋がっていない「ワイヤレスネットワーク」の設計、導入、運用、最適化などの全体設計を行うために必要な高度な知識が問われます。
CCIE Security	サイバー攻撃などに対抗するためのセキュリティ対策において、設計、導入、運用、最適化などの全体設計を行うために必要な高度な知識が問われます。
CCIE Service Provider	「サービスプロバイダー」の全体設計をするために、設計、導入、運用、最適化などに必要な高度な知識が問われます。

エキスパートレベルは、シスコ技術者認定試験の最高ランクです。
プロフェッショナルよりもさらに深い専門性を身につけることで、専門家レベルでの業務が可能となります。

Cisco　エキスパート認定

その中でCCNAはアソシエイトに該当する

前述した通り、CCNAは「アソシエイト」に該当します。
知名度が高いことからもアソシエイトレベルの資格の中で最も人気が高く、多くの企業でもCCNAは評価されています。
ネットワークエンジニアなどネットワークに関する業務が未経験の場合でも、CCNAは十分に取得可能なため挑戦してみるのも良いでしょう。

合格率や勉強時間の目安

ネットワークエンジニアの合格率は非公表ですが、25〜30%とされています。
比較的難易度は高くなく、一般的な勉強時間は200時間ほどとされています。
ただし前述の通りエンジニアを1年程度経験している前提で設計されている試験のため、全くの未経験の場合、さらなる勉強時間が必要となる可能性があります。

CISCO技術者認定試験（CCNA）を取得するメリット

CCNA資格を取得するメリットを下記より3つ紹介します。

自身のスキルの再確認となる

すでにネットワークに関わる仕事をしている場合は、自身のネットワークに関する知識やスキルを把握するための手段として活用することができます。
まずは現状のレベルを把握し、あるべき姿と現在の姿を比較することで自身に足りない知識やスキルを認識することができます。
そうすることで、より専門性を高めるためにワンランク上の「エキスパート」レベルに挑戦するなど、キャリアアップするために必要な方法を見つけ出すことができます。

シスコシステムズ社の製品を扱える証明となる

シスコシステムズ社の製品は日本において多くの企業で導入されており、ネットワークエンジニアとして仕事をする上で「扱えるようになっておくべき」と言ってよいものばかりです。
CCNAをはじめとしたシスコ技術者認定試験を受けておくことで、どのような企業で働いたとしてもシスコ製品を用いたネットワークに関する業務に対応できるようになります。

シスコシステムズ社の製品の理解を深めることができる

シスコシステムズ社の製品に対する理解を深めることで、ネットワークに関する業務を効率よく行うことができます。
例えば、ネットワークを設計・構築をする際には、ルーターやサーバー、LANケーブルなどネットワークに関わる機器がどのくらい必要なのかに加え、どのように構築したらよいのかなどを考える必要があります。
シスコシステムズ社の各製品の性能を理解しておくことで、無駄なくネットワークを設計・構築することができます。

CCNAの試験概要

ここからは、CCNAの試験内容や時間などについて解説します。

出題方法	CCNAは、CBT（コンピューター入力）方式によって行われます。そのため、コンピューターによって問題を表示・解答入力を行います。マウス操作による選択問題やキーボード操作するシミュレーション問題に対して回答するため、自宅でも受験することが可能です。
時間	試験時間は120分ほど。 CCNAは選択だけでなく筆記問題があり、出題数が多いため、一問にあまり時間をかけず、最後まで解き切るようにしましょう。
受験資格	CCNAは、13歳未満の人は受けられません。また、13歳から17歳の場合には保護者の同意が必要となります。

Cisco　Cisco Certified Network Associate (200-301 CCNA)

シスコ技術者認定試験（CCNA）の学習方法

CCNAの学習方法には様々なものがあります。
今回は、「公式のコース」「スクール」「書籍」の3つを活用した学習方法について解説します。

公式のコースを活用する

CCNAは、シスコシステムズ社が公式に運営している学習コンテンツがあります。
インストラクターによるトレーニング、バーチャルトレーニング、E-Learningの中からご自分のスタイルに合ったものを選択できるため、継続できるコースがどれかを念頭に考えてコースを選ぶとよいでしょう。

スクールへ通う

CCNAは、スクールに通って資格取得を目指すことも可能です。
スクールの場合、知識ゼロから始めてもすぐに聞ける体制が整っており、試験合格のためのサポートが手厚いため、通学する時間やコストがある方は検討してみてはいかがでしょうか。

書籍を活用する

CCNAに関する参考書は、書店やネットで様々なものが出版されています。
ご自分が手に取りやすそうなもの、試し読みなどをしてみて良いと感じるものから導入して、学習に活用しましょう。

まとめ

今回は、シスコ技術者認定試験の全体像を紹介しながら、特に知名度が高く人気の「CCNA」に関するメリットや試験概要、勉強方法について解説しました。
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