COLUMNシステム運用設計とは?必要な知識や仕事内容について

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システム運用設計とは?必要な知識や仕事内容について

システム運用設計とは?

システム運用設計とは、障害が発生することを前提にシステムにおける日々の運用業務や実際の障害対応などのプロセスをあらかじめ定義し、明確にすることです

システム運用設計が疎かだと、オペレーションミスの発生頻度が上がる、不要作業の工数がかさみ現場コストが高くなるなどの問題が発生します。

一方、システム運用設計をしっかり行っていれば、障害発生時に迅速な復旧をはかることができるとともに、システム運用における作業やナレッジの属人化を防止することができます。

運用設計と他の設計の違いとは?

運用設計とは、システムが不具合なく運用するための設計を指します。

運用設計と一口に言っても、運用設計の中にもいろいろなタスクが存在します。
業務の運用設計

基盤の運用設計

運用管理の設計
詳しく見ていきます。

三種類の運用設計

○業務の運用設計

業務の運用設計とは、アプリケーションやシステムの運用の設計のことです。

アプリケーションの起動や停止や監視を定義し、設計します。


○基盤の運用設計

基盤の運用設計とは、アプリケーションやシステムの基盤の設計のことです。

ここでは、セキュリティの対策も含まれます。



○運用管理の設計

運用する中で人が介在する場合は、人が何をするのかレギュレーションを作成する必要があります。

この設計を行います。

運用設計の他にも設計がある?

○業務設計とは?

業務設計とは、運用設計に入る前の手順で使われることが多い名称です。

決められた業務を細分化し、フローに分け、最適なプロセスに分けていく作業のことを言います。

属人化された業務を明確化したり、イレギュラーな対応があった場合のパターンを明確化したりします。

システムを導入する前の業務の棚卸し時にも使われることがあります。

このため、業務設計を行うことがどの企業においても重要なことですが、システム導入の前に行われることが多いことを覚えておきましょう。



○開発設計とは?

開発設計とは、開発の中で、システムのスペックをどうするのかの設計のことです。

サーバーやデータベースの設計を行います。

運用設計と異なり、開発の現場で決めておくべきことの設計であることが特徴です。

システム運用については下記で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

運用設計の仕事内容と流れ

具体的にどのような運用設計が必要なのかはシステムごとに異なりますが、ここでは標準的な運用設計の仕事内容と、その流れの一例を解説していきます。

運用方針の設計

まずはシステムの運用方針を設計します。

何のために導入されたシステムなのか、どのような視点で誰が利用し管理するのかなど、全体の方針を定義するのがこの段階です。

この運用方針をもとに具体的な運用手順に落とし込むため、システム運用設計の核となる工程といえます。

管理するシステムや対象、運用体制の整理

運用方針に従い、システムの構成把握、管理システムや機器の設計など、運用体制の整理を進めていきます。

近年ではクラウドサービスを利用する組織が増えており、システムを複数の組織やベンダーと連携して運用することが増えています。

システム上のどこまでを誰の管理対象とするかなど、各組織における責任分担を明確にしておくことが重要です。

監視項目、障害対応手順などマニュアル作成

運用体制と管理対象が明確になったら、運用で必要となるマニュアルの作成を進めます。

マニュアルを作成することで属人化を防ぎ、安定した運用をおこなうことができるようになります。

システムの要件に沿って監視項目や監視レベル、異常を検知した際の障害対応手順などをまとめましょう。

死活監視なのか性能監視なのか、ツールを利用するのか、しきい値をどのぐらいで設定するのかなどを明確に定義します。

定常作業の定義

各種マニュアルの作成を進めるとともに定常作業の定義をおこないます。

定常作業と非定常作業の線引きはオペレーションミスを防ぐ上で重要です。

定常作業はオペレーターレベルで作業を実施することが大半ですが、線引きが不明瞭なために非定常作業を定常作業と認識してしまい、エスカレーションなく作業をおこなってしまうことでトラブルが発生するケースは多くの現場で発生しています。

運用作業における定期メンテナンスやバックアップ、ログ管理など、どこまでのレベルを定常作業とするのかを明確に定義しましょう。

テスト実施

システム運用設計が初めから完璧であれば問題はありませんが、実際にシステムを運用すると、追加で定義が必要となったり定義内容の見直しが必要となったりすることがあります。

一定のテスト期間を設定しPDCAを回すことでより最適な運用設計に改善していくこと
が重要です。

運用設計のメリットややりがいを感じやすい点

運用設計を行うメリットは以下の通りです。
・システム運用をスムーズに行うことができる

・システム運用を効率化、合理化でき、秩序ある運用体制が整う

・障害やトラブルを未然に回避できる
このため、運用設計として働く人は以下の点にやりがいを感じやすいです。
・自分の考えた通りに運用が進んだ

・アプリケーションやシステムが問題なく稼働している

自分が考えた運用体制で、アプリケーションやシステムが中長期的に正常に稼働することは、多くの人の役に立つことであるため、非常にやりがいを感じやすく意義の大きな仕事だと言えるでしょう。

運用設計に必要なスキルは?

運用設計の仕事をするのであれば、下記のようなスキルが必要です。

トラブルに臨機応変に対応できる力・分析力

システムやアプリケーションの障害を防いだり、迅速に復旧できる体制にしたりする
のが運用設計の仕事です。

このため、トラブル時も冷静に状況を整理し、どのような対応をとるのかを考える必要があります。

システムに関する幅広い知識

運用設計に携わるメンバーはさまざまな知識が必要です。

サーバーやネットワーク・OSなどに関する基礎的な知識を網羅しましょう。

運用設計をする上で、携わる部分については頭に入れておく必要があります。

さらに、トラブル発生時には、多くの選択肢の中から問題を探すことになるため、知識の豊富さが重要です。

円滑なコミュニケーション能力

運用設計は、インフラ基盤の業務があることもあり、一見するとあまり人とのかかわりがない業務に見えるでしょう。

しかし、ユーザーからの問い合わせなどがあるため、コミュニケーション能力は必須です。

運用設計とは、運用体制を整えることが仕事のミッションになりますが、その際にヘルプデスクとしての業務などを任されることもあります。

システム基盤の運用のみをしていればよいわけではなく、人とのコミュニケーションが必須なのです。

運用設計の仕事に役立つ資格は?

システム運用設計の仕事で役立つ資格としては、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)が挙げられます。

ITILでは、下記の5つのカテゴリに沿ってITサービスマネジメントの成功事例がまとめられています。
・サービス・ストラテジ(サービスの企画戦略)

・サービス・デザイン(サービスの設計や変更)

・サービス・トランジション(サービスの立ち上げ・移行)

・サービス・オペレーション(サービス運用)

・継続的なサービス改善
これらの成功事例の知識を身につけ現場に活用できることを証明するものとして、ITIL認定資格が用意されています。

ITIL認定資格はレベルに応じて5種類の資格が用意されていますが、最も入門的なITILファンデーションは運用設計をおこなう現場のメンバーとしては必須レベルの資格といえるでしょう。

システム運用設計の現在と将来性

システム運用設計の現在

システム運用設計の仕事の需要は高まっています。


コロナ禍において、システムを活用する企業が増え、さまざまなことがオンライン化したことから、運用設計の仕事の需要も高まっているのです。

平均年収も400万円~450万円程度と言われており、さらにキャリアを重ねると収入が増えやすくなります。

経験が評価される業界であるため、勤続することによって、よりスキルを磨き上げることができるでしょう。

システム運用設計の将来性

システム運用設計の仕事の将来性も明るいです。

IT化・DXにより需要が拡大していきます。

しかし、オンプレミスからクラウドへの移行が進んでいるように、便利かつ企業が導入しやすい形にトレンドは大きく変わっていきます。

特定のスキルを身に付けたからといって、すぐ廃れてしまう可能性もあります。このため、身に付けるスキルは幅広く、かつ将来性の高いものにしておくことが重要です。

まとめ

この記事では、障害対応を前提とした「システム運用設計」と、そのために必要な知識や経験、役立つ資格などについて解説しました。

システム運用設計は、システム運用や障害対応などのプロセスを定義してシステムの運用業務や障害対応をスムーズにし、長期的に安定したシステム運用を可能とするものです。

サーバーやネットワーク、ソフトウェア、セキュリティなどの多岐にわたる知識・経験が必要となることに加え、マニュアル作成に必要となる高度な技術力が備わっている必要があります。

ITIL認定資格などシステム運用設計をおこなう現場業務で役立つ資格の取得も検討しながら、ぜひそのスキルを身につけて活躍する道を目指してみてはいかがでしょうか。

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