COLUMNシステムエンジニア(SE)に将来性がない?その理由と将来性が高い分野

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システムエンジニア(SE)に将来性がない?その理由と将来性が高い分野

システムエンジニア
「SEに将来性があるのか心配…」など、AIの進化やクラウドサービスの普及により、仕事がなくなるという声まで聞かれます。
しかし、SEの仕事は、情報システムの企画から設計、開発、運用までを一手に担うものです。
その業務の範囲は広範であり、企業のIT戦略を支える役割としてその価値もますます高まっています。
この記事では、SEに将来性はあるのかについて詳しく解説します。
さらに、将来性が高い分野やSEになるためのスキルにも触れるため、ぜひ参考にしてください。

システムエンジニア(SE)はいらない?将来性が低いと言われている理由

企業のDXが進むにつれて、SEはその存在感を増してきました。
しかし、一方で「SEはいらない」「将来性が低い」といった声も耳にします。
このように言われている背景には、以下の3つの理由が挙げられます。
  • 将来AIに置き換わると言われているから
  • 35歳定年説があるから
  • クラウドサービスが普及しているから

将来AIに置き換わると言われているから

まず、AIの発展はSEの将来性を危ぶむ一因となっています。
  • ChatGPT(OpenAI)
  • Gemini(Google)
  • Copilot(Microsoft)
  • GitHub Copilot(GitHub)
などのAIは、コードを生成する能力を持つ代表例です。
いずれのAIも人間のエンジニアが行っていたコーディング作業を自動化し、一部の作業を代替する可能性があります。

35歳定年説があるから

SEには、頻発するトラブルから残業が続き、35歳が体力的な限界となるという「35歳定年説」があります。
プロジェクトの締め切りが迫ると、休日出勤が続くことも珍しくありません。
さらに、技術の進歩は日進月歩であり、新しい技術や言語、ツールが次々と登場するため、常に最新の知識を習得し続けなければならないプレッシャーも存在します。
SEは体力的な面だけでなく、知識の更新という精神的な負担も同時に抱えているのです。

クラウドサービスが普及しているから

そして、多くの企業では自社で持つオンプレミスのサーバーを持つ必要性が減少し、クラウドサービスに移行しつつあります。
サーバーの設置やネットワークの構築、OSの管理など、従来のスキルを提供先が補うため、SEの必要がなくなることも懸念されています。
このことから、クラウドサービスの導入や運用、セキュリティ対策など、新たなスキルや知識が求められるでしょう。
従来のスキルに需要がなくなった結果、将来性がないと言われることがあるのです。

システムエンジニア(SE)に将来性はある?

結論から言うと、SEに将来性はあると言えます。
その理由は、以下の3点が挙げられます。
  • 全てが完全にAIに置き換わることはない
  • 35歳を超えても活躍しているエンジニアは多い
  • クラウドサービスにより新たな需要が生まれてくる
これらについて詳しく解説します。

全てが完全にAIに置き換わることはない

AIの発展は、プログラミングというSEの主要な業務を効率化し、SEの参入ハードルを下げるにとどまっており、完全に置き換えることはないと考えられます。
また、AIが生成するコードには文量・精度ともに限界があり、記述の誤りも少なくありません。
大規模な開発では、機能を分割しなければAIでコードを生成できず、その接続も人間に依存していることが現状です。
この課題を解決するためには、正確性の確保やデバッグ等に対応できる汎用性を持つSEが必要です。

35歳を超えても活躍しているエンジニアは多い

IT業界は人手不足が深刻化しており、35歳を越えてもエンジニアは活躍の場を失わないことも将来性がある理由です。
実際、厚生労働省の「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」(令和6年3月、pwc調べ)では、以下の結果もあり、35歳定年に根拠はありません。
年齢層 割合
20~24歳 0.4%
25~29歳 1.7%
30~34歳 3.7%
35~39歳 5.1%
40~44歳 9.0%
45~49歳 16.0%
50~54歳 20.8%
55~59歳 24.5%
60~64歳 14.6%
65~69歳 4.1%
そして、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、2030年時点で最大で79万人のIT人材が不足すると予想されています。
日本では、生産年齢人口(15〜64歳)の減少に伴い、この人材不足はさらに深刻化する見込みです。
加えて、長時間労働の問題を受けて働き方改革を講じている企業も増加しています。
こうした現状を踏まえて、35歳から待遇の改善や給与アップを狙ってハイクラスへの転職や独立など、キャリアアップを目指す動きも強くなっています。

クラウドサービスにより新たな需要が生まれてくる

さらには、クラウド環境で求められる以下の技術が新たな人材の需要も生み出しています。
  • システムアーキテクチャの設計
  • クラウドデータのセキュリティ保護
  • クラウドリソースの最適化によるコスト管理
実際、総務省の「令和4年通信利用動向調査の結果」によれば、クラウド環境を有している企業の割合は7割を超えており、そのうち9割が「効果があった」と回答している状況です。
この結果から、クラウドサービスに関する技術を持つSEの需要は今後も増えると予想されます。

システムエンジニア(SE)の今後について

SEの将来性には多くの疑問が投げかけられ、まだ不安に感じる人も多いでしょう。
しかし、すでにお伝えしたことに加え、今後のIT業界では、以下のトレンドがあることもSEの高い将来性を裏付けています。
  • 活躍するSEの年齢が上がっていく
  • 労働環境が整備される
  • 社内SEの需要が高まる

活躍するシステムエンジニア(SE)の年齢が上がっていく

まず、業界としてSEの活躍する年齢層は上がっていく見込みです。
事実、厚生労働省の「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」(令和6年3月、pwc調べ)によると、40代以上が9割近くを占めており、現在でも高い年齢層であることがわかります。
経験とスキルが重視される業界であるため、学習中、また現在活躍中の20代においても、年齢とともに経験を積み、価値が高まる傾向は容易に想像できるでしょう。
一方で、文部科学省が小学校でプログラミング教育を導入していることから、若い世代でもプログラミングができる層が増えていくことが予想されます。
将来的には若年層から高齢層まで幅広い年齢層でSEが活躍する可能性があると言えるでしょう。

労働環境が整備される

次に、SEの労働環境も整備が進みます。
すでに厚生労働省では、「平成30年版過労死等防止対策白書」にて指摘のある業種として、IT業界を例に整備の指針を打ち出しています。
ワーク・ライフ・バランスを実現するため、働き方を改めて考え直し、長い間問題とされてきた過度な残業を減らすとともに、年間の有給休暇を取りやすくするための取り組みをしっかりと推進していくというものです。
また、働き方のトレンドとしてはダイバーシティ(多様性)への取り組みによって、柔軟な働き方を実現し、さまざまな人材が力を発揮できるようになると考えられます。
結果として企業の生産性は高まり、働きやすさも確保される見込みです。
【参考】

社内SEの需要が高まる

最後に、クラウドサービスの普及により、社内SEという新たな需要が生まれています。
社内SEは企業内のIT環境を整備し、クラウドサービスの導入や運用を担う重要な役割を果たします。
現状、総務省が2023年に発表した「令和4年通信利用動向調査の結果」によると、多くの企業がクラウドサービスを採用しており、割合は7割を超えている状態です。
そして、利用企業の約9割が「効果があった」と回答しており、今後もクラウドサービスを利用する企業は増えると予想され、社内SEの将来性も高いと言えるでしょう。

年収から見るシステムエンジニア(SE)の将来性

年収は業種の社会的評価や需要を反映する重要な指標となるため、高い年収はその職業に将来性があることを示していると考えられます。
SEの平均年収は、約550万円です。
年代別では、以下のようになっており、経験豊富な40代は高い傾向にあります。
年代 平均年収
20代 約322〜434万円
30代 約518〜602万円
40代 約626〜686万円
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、令和4年度における給与所得者全体の平均年収は458万円でした。
つまり、一般的な平均年収と比べても高い水準ということです。
IT技術の進化とともにSEの需要が増え、給与の上昇を見ても将来性は高いと言えるでしょう。

システムエンジニア(SE)の需要が高まる分野は?

SEの需要は高まりつつあり、以下の領域では特に将来性が高いです。
  • AI・ビッグデータ
  • 情報セキュリティ
  • クラウドサービス

AI・ビッグデータ

AIやビッグデータの分野は、DXと深く関わっており、その需要は今後も高まることが予想されます。

情報セキュリティ

また、総務省の「我が国のサイバーセキュリティ人材の現状について」によると、2020年時点でセキュリティ人材の不足数は20万人近いと予測されています。
さらに、近年ではハッキングやウイルス攻撃の件数が増加しており、企業や個人の情報を守るための対策が急務となっています。
この背景からも、情報セキュリティの需要は非常に高まっていると言えます。

クラウドサービス

加えて、クラウドを基盤としている企業の割合は7割を超え、約9割が「効果があった」と回答していることから、サービスを利用する企業も増えるでしょう。
この背景から、SEは、今後ますます各種分野で価値が高まると言えるのです。

将来性が高いシステムエンジニア(SE)になるには

SEとして市場価値を高めるためには、AI、ビッグデータのスキル、クラウドスキル、そしてセキュリティに関するスキルを身につけましょう。
例えば、AIやビッグデータの分野はDXとも関係が深く、高い需要が今後も続くと予想されます。
また、不足する見込みのセキュリティに関するスキルを身につけたり、今後の時流にマッチしたクラウドにおいて、AWSやAzureに関する知識・スキルを獲得したりするなども有効です。
学びを増やすためにも、オープンソースコミュニティや技術カンファレンスへの参加、関連研修を通じて、最新のトレンドをキャッチアップすると良いでしょう。

システムエンジニア(SE)のキャリアパスは?

SEのキャリアパスは、主に以下の4つが挙げられます。
  • スペシャリストになる
  • ジェネラリストになる
  • マネジメント側になる
  • フリーランスとして独立する

スペシャリストになる

スペシャリストとは、特定の分野に深く精通し、その知識と技術を活かして業務を遂行する人材のことを指します。
SEでは、セキュリティ分野に特化したセキュリティエンジニア、クラウド分野に特化したクラウドエンジニアなどが該当します。
また、システム設計に特化したシステムアーキテクトもスペシャリストの一例です。
この職種は、特定の技術やツールに情熱を持ち、深い知識を追求したいと考えている人に向いています。

ジェネラリストになる

ジェネラリストとは、幅広い知識とスキルを持ち、多角的に問題を解決できる人材のことです。
例えば、ITスキルに加えて、ビジネスや経営の技術も持ち合わせているSEはジェネラリストと言えるでしょう。
職種としては、ITコンサルタントやITコーディネータが該当します。
この職種では、IT関連の業務だけでなく、プロジェクトの進行管理やビジネスに沿った提案なども求められるため、新しい技術を学ぶことに興味があり、多岐にわたるプロジェクトに関わりたい人におすすめです。

マネジメント側になる

マネジメントとは、組織やプロジェクトの運営を担当する役割を担う人材のことです。
マネジメントには、プロジェクトマネージャーと部門マネージャーの二つの側面があります。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画立案や進捗管理を行い、プロジェクトが期限内に予算内で成功するように指導します。
プロジェクトの進捗管理や課題解決に注力し、チーム全体のパフォーマンスを最大化することが求められます。
一方で、部門のマネージャーは、プロジェクトの進捗管理だけでなく、組織の運営、人事評価、採用など、経営陣に近い業務にも関わることが多いです。
いずれも、経営者を目指す人にとっては非常に魅力的なキャリアパスと言えるでしょう。

フリーランスとして独立する

最後に、フリーランスとは、自身のスキルと経験を活かして独立し、仕事を請ける形態のことを指します。
IT技術職は自身のスキルを明確にしやすいため、フリーランスとして独立する人も多いです。
フリーランスのSEは、自分の得意な領域や技術を伸ばしたいプロジェクトを選び、好きな案件にジョインし、自由に働くことができます。
このため、柔軟な働き方を好み、自己管理が得意で、新しいチャンスを模索している人には最適でしょう。

まとめ

SEの役割は変化し続けていますが、決してその需要が減少するわけではありません。
むしろ、DXの進行に伴い、新たな技術を駆使したシステム開発や運用の需要は増加しています。
特に、AI、ビッグデータ、クラウドサービス、情報セキュリティなどの分野では、将来性も高いでしょう。
SEになるためには、必ずしもプログラミングやコーディングができる必要はありません。
だからこそ、多様なプロジェクトに参加し、実践的な経験を積みながら自らの価値をさらに高める必要があります。
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